Vol.42 床下浸水。どうしたらいい?

今年は日本中で線状降水帯による水害がありました。

私自身、床下浸水を受けた経験がありません。
だからこそ知りたくなりました。

昔ながらの床下は、外の風を通して
湿気を逃がす空間。

基礎断熱の床下は、室内に近い空間。

では、その床下が浸水したら、
何をすればいいのでしょう。

もちろん、一般の方は、写真を撮って、

保険会社に連絡するとか濡れた家財を避けて

その先はプロに連絡してお願いするしかない。

その先、具体的に何をするんだろう。

泥を全部出す?

床を剥がす?

消毒する?

それとも換気する?

■まず、安全と記録

床下へ入った水は、
きれいな雨水とは限りません。

下水、油、薬品などが
混ざっている可能性があります。

漏電や建物の損傷もあり得る。

まずは自治体の情報を確認し、
浸水した電気設備には
触れないようにします。

そして片付ける前に、
建物や家財、床下の状態を
写真に残します。

保険や支援制度を
利用するときに必要。

そしてプロに連絡ですね。

■床を剥がすの?

床下をきれいにするなら、
床を全部剥がした方が
早そうですよね。

床下に、潜って掃き出すとか無理そう。

ところが、床を剥がすと
作業する場所がなくなる。

根太の上を歩きながら
泥を出すことになり、
危険で大変な作業です。

実際の浸水住宅では、
床下の泥出しと清掃に
延べ46人日かかった例も
あるそうです💦

そこで別の方法を
研究しているのが、

信州大学工学部の
中谷岳史先生。

以前、新住協の長野支部の勉強会で
お話を伺って非常に勉強になりました。

中谷先生自身も、
2019年の台風19号で
自宅が浸水しています。

その経験と調査から、
床をできるだけ残して
床下を乾かす方法を
検証しています。

■水があれば、まず排水

床下に水が残っている間は、
換気しても乾きません。

まず汚水用のポンプで、
たまった水を排出します。

ただし完璧に泥を取ってから
乾燥を始めるわけでは
ないみたいです。

水が抜けて、
ファンを置ける状態になったら、
早めに送風を始めます。

■点検口は1か所

基本的な方法は、床下点検口を
1か所だけ開ける。

そこから床下の土間へ、
直径200mm程度の
ダクトファンを置く。

風の向きは、
基礎の人通口の奥です。

空気の流れは、↓の感じ。

外の空気→室内→床下点検口→床下→床下換気口→屋外

点検口近くの窓を開け、
比較的きれいな空気を
床下へ送ります。

床下の細菌などが混じっている
可能性がある汚れた空気を室内へ
吹き上げないことが大切です。

■なぜ1台で届くの?

使うのは家庭用の
サーキュレーターではなく、
直進性の強い
業務用ダクトファンです。

床下へ風を送るだけでなく、
床下空間に圧力をかけ、
広い範囲の空気を動かします。

人通口がつながり、
床下換気口まで
空気が抜ける家なら、

1か所のファンでも
床下全体へ風を通せます。

ただし、基礎で床下が
細かく分断されていたり、
人通口がなかったりすると、
同じ方法では届きません。

基礎断熱の家の場合は
床下換気口がないので、
別の排気経路が必要です。

■乾燥には時間がかかる

ファンを回したら、
数日で終了。

というわけではありません。

中谷先生の資料では、
乾燥に1~2か月程度
だそうです。

結構長い間ですね。

ファンの音は煩いだろうし。

3~4週間ほどたったら
床下を点検し、

濡れている場所へ
ファンの向きを変えます。

乾いたことを確認した後、
掃除機などで
乾式清掃を行います。

最初から床下の泥出しへ
人手を集中させるより、

室内の家具搬出や、
濡れた壁、断熱材の処理を
先に進める考え方です。

■何でも泥を残していい?

もちろん違います。

下水や油が入った。

有機物を含む泥が厚い。

強い悪臭がある。

断熱材が水を吸っている。

建物が損傷している。

このような場合は、
清掃や材料の撤去、
専門家の判断が必要です。

「床下は掃除しなくていい」

という方法ではありません。

床を全部剥がし、
泥を完全に取るまで
乾燥を待たなくてもよい。

という考え方です。

■換気は最後ではなかった

水害後の換気は、
掃除が終わった後の
仕上げではありません。

水を抜いたら、
早い段階で風の道をつくる。

室内の片付けと並行して、
床下を少しずつ乾かす。

そのための換気でした。

もちろん災害直後は、
自分だけで判断せず、
建築会社や専門家へ
相談してください。

それでも、

水を抜く。
床をむやみに剥がさない。
床下へ風の道をつくる。

この順番を知っているだけで、
復旧方法の選択肢は
大きく変わりそうです。

信州大学・住宅浸水直後の行動手順書

浸水建物の効率的乾燥に関する研究

住宅における水害対応マニュアル(詳細版)について

次回は、床下エアコン。

弊社モデルハウスも床下エアコンで

暖房しています。

 

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