熱交換率とは、リサイクル率なのか
ドイツinVENTer社に学ぶ、住まいと換気の基礎知識 Vol.2
エディフィス省エネテックの改正です。
前回は、熱交換換気について、
「捨てる空気が持っている温度や湿度を、
次に入ってくる新鮮な空気へリサイクルする換気」
と紹介しました。
今回は、そのリサイクル率についてです。
換気設備のカタログを見ると、
「熱交換率90%」
「温度交換効率85%」
といった数字が書かれています。
数字が大きいほど良さそうなのは分かります。
でも、何が90%なのか。
ちょっと分かりにくいですよね。
ペットボトルのリサイクル率が80%なら、
「100本のうち80本くらいが
リサイクルされるのかな」
とイメージできます。
では、熱交換率90%なら、
電気代が90%安くなるってこと?!
めっちゃ得!!
残念ながらそうじゃないです💦
熱交換率とは、簡単に言えば、
室内と外気の「温度差」を、どれくらいリサイクルできたか
という数字です。
例えば、冬の室温が20℃、
外気温が5℃だったとします。
なぜ5℃なのか。
日本の基準で暖房時の室内温度を20℃、
外気温度5℃が試験規格だから。
同じ条件でないと基準が分からないですからね。
では、室内20℃と外気5℃の温度差は15℃です。
ここで、温度交換効率が80%の
熱交換換気を使ったとします。
温度差15℃のうち、
80%にあたる12℃分をリサイクルします。
外気温5℃に12℃を足すので、
室内へ入ってくる空気は約17℃。
温度交換効率が90%なら、
15℃の90%で13.5℃。
外気温5℃に13.5℃を足して、
給気温度は約18.5℃になります。
5℃が18.5℃まで上がったらすごい快適そうですよね!
これが、
「熱交換率80%、90%」
です。
ただし、実際の給気温度は、
風量や気象条件などによって毎日変わります。
車でも、ベタ踏みの時と巡行している時では燃費が違います。
熱交換換気でも同じで、風量によって結果が変わっちゃいます。
そして、これは冬の話です。
夏は、室内より外の方が暑いため、
考え方が反対になります。
日本の試験条件では、夏は室温27℃、外気温35℃です。
その温度差は8℃。
温度交換効率が80%なら、
8℃のうち6.4℃分をリサイクルします。
外気温35℃から6.4℃を引くので、
給気温度は約28.6℃。
……また計算が難しい!(笑)
でも35℃が28.6℃!だいぶ冷めてる!
冬は、冷たい外気を
どれくらい暖められるか。
夏は、暑い外気を
どれくらい冷ませるか。
同じ温度交換効率でも、
季節によって熱の動く方向が反対になります。
しかも、日本の夏は、
温度だけでなく湿度も高いですよね。
外気を35℃から28.6℃まで冷ませたとしても、
湿気がそのまま室内へ入ってきたら、
エアコンはその水分も取り除かなければなりません。
だから夏の換気性能は、熱交換率だけでは判断できません。
温度だけをリサイクルするのか。
湿度も含めてリサイクルするのか。
この違いについては、
今後のコラムであらためて紹介します。
さて、熱交換率の話に戻ります。
熱交換換気がリサイクルできるのは、
住宅から失われる熱のうち、
「換気で捨てている熱」の部分です。
住宅から熱が逃げる場所は、
換気だけではありません。
壁や屋根、床、窓、玄関ドア、
建物の隙間などからも熱は逃げています。
例えば、住宅全体から逃げる熱を100として、
そのうち換気で逃げる熱が30くらい。
その30を90%リサイクルできたとしても、
回収できるのは27です。
住宅全体で見ると、
100が73になるイメージです。
だから、熱交換率は90%でも、この例では住宅全体の27%なんです。
もちろん実際には、
住宅の断熱性能や気密性能、換気量、外気温、
などで結果が変わります。
建物全体でバランスよく熱を逃がさないお家にすることが大切。
そして熱交換率とは、
捨てるはずだった温度差のうち、
どれくらいをリサイクルできたか。
正式には「温度(熱)交換効率」といいますが、
「温度のリサイクル率」
と考えると、分かりやすいかなと思います。
次回は、もっと根本的な内容。
「どうして住宅には換気が必要なの?」
について紹介します。
お読みいただき、ありがとうございました。
※本記事は、ドイツinVENTer社の技術コラムを参考に、日本の住宅事情に合わせて編集・解説しています。