レンジフード②同時給排? 室内循環?
ドイツinVENTer社に学ぶ、住まいと換気の基礎知識 Vol.13
高気密住宅では、大量に排気すると家の中が負圧になる。
しかも、せっかく熱交換換気を付けていても、
レンジフードを使っている間は、
家全体で見た熱回収効果が落ちてしまう。
だったら、答えは簡単ですよね。
480㎥/h出すなら、480㎥/h入れてやればいい。
せや!同時給排にしたろ!
ということで、今回はレンジフード②
同時給排って何?
普通のレンジフードは、基本的には、排気する機械です。
室内の空気を吸って、外へ出す。
一方、同時給排型は、レンジフードを動かしたときに、
排気と一緒に、外から入ってくる空気の通り道も開きます。
高気密住宅でレンジフードを運転すると室内が負圧になり、
ドアが開けにくくなったり、
レンジフードの吸い込みが弱くなったりするため、
専用の給気経路から給気を行う同時給排を用意しています。
これは、すごく理にかなっています。
キッチンから大量に出すなら、
キッチンの近くから空気を入れる。
すると、寝室やリビングの給気口から、
ものすごい勢いで外気を引っ張ってくる必要が減ります。
熱交換換気への影響も、普通の排気型より抑えやすくなります。
なので、高気密住宅なら、普通のレンジフードより、僕は同時給排型の方が良いと思います。
でも……ここで一つ、
知っておいてほしいことがあります。
「同時給排」=「出した量と同じだけ入る」
ではありません。
現在販売されている国内製品でも、メーカー自身が、
同時給排型でも、
レンジフードの排気量と同じ給気量があるわけではない
と明記しています。
え?同時給排なのに!?と思いますよね(笑)
実は、同時給排にもいろいろあります。
給気ファンがあるもの、ないもの
一つは、レンジフードを動かすと給気側のシャッターも開いて、
家の負圧を使って外気を入れるタイプ。
いわば、自然給気型。給気口が一個増える感じです。
排気ファンはあるけど、給気側にはファンがありません。
自然吸気ですから、風や温度差、いろんな条件によってそこから入ってくる量は変わります。
そこで、もう一つあるのが、強制同時給排型。両方ファンがあるやつ。
実際に国内製品でも、高気密住宅では自然給気が不足する場合があるため、
給気側にも専用ファンを設けた強制同時給排型があります。
じゃあ、強制同時給排ならOK!……かというと、
やっぱり、そこまで単純でもないです。。
メーカーも、強制同時給排型を含め、
排気量と給気量が必ず同じになるわけではないと注意しています。
だから、例えば480出して300しか入らなかったら、
残り180は別の場所から入ってきます。
24時間換気の給気側。普通の給気口。建物の隙間。
つまり、同時給排にしても、家全体の換気への影響がゼロになるわけではありません。
ううん、、ちょっと待てよ、そもそも……
480㎥/hも外へ捨てる必要ある?
調理で出る、油。煙。におい。
これらを外へ出したいから、
レンジフードがあります。
でも、これらをフィルターで取ることができたら?
空気そのものを外へ捨てなくてもいいんじゃない?
という考え方があります。
それが、室内循環型レンジフードです。
調理中の空気を吸う。
吸い取ったらフィルターを通してきれいにした空気を、室内に戻す。
現在国内でも、IHクッキングヒーター専用の室内循環フードが販売されています。
メーカーも屋外排気をしないことで、
レンジフードによる負圧を避け計画換気への影響を抑え、
空調した室内空気を屋外へ捨てないことをメリットに挙げています。
これ、高断熱・高気密住宅と、めちゃくちゃ相性良くない?
と僕は思うんです。
せっかく、冬に暖めた空気。
夏に冷やして、一生懸命除湿した空気。
それを、料理するたびに、外へドーン!
ではなく、室内で空気をきれいにして戻す。
すると、家の圧力バランスも熱交換換気のバランスも崩しにくい。
前回話した、「暮らしの実効熱回収率」も、ほとんど落とさずに済みます。
なので、
高断熱・高気密住宅+熱交換換気+IH
という条件なら、
室内循環型は、かなり理想に近いレンジフードだと思っています。
……
もちろん、
弱点もあります。
湿気はどこ行った?
例えば、
お鍋。グツグツ。
パスタ。グツグツ。
大量の水蒸気が出ます。
普通のレンジフードならその水蒸気もある程度は外へ出します。
でも、室内循環型は基本的には空気を室内へ戻します。
なので、調理で出た熱や湿気については、
室内側で考える必要があります。
冬はお鍋を作る、煮物を作ることで加湿ができると思えるのでいいかもね。
でも夏はちょっと良くない感じがするよね💦
さらに、大量に煙が出る料理では、
室内に煙が残ることがある。
料理によっては、においを完全には取り切れないこともある。
なので、室内循環=換気しなくていい!
料理によって、熱や湿気が多いときには、
追加換気したい場面もあるかも。
面白いことに、現在の室内循環型には、
室内循環と屋外排気を切り替えられるタイプ
まであるみたい。
普段は循環。湿気や暑さが気になるときだけ排気。
そして、フィルター
外へ捨てないということは、
油や煙やにおいを、
どこかで捕まえないといけません。
だから、フィルターを使います。
当然、フィルターには寿命があります。
交換も必要。
交換費用もそれなりにします。
なので、室内循環型はランニングコストゼロ!
ではありません。
そして、もう一つ重要なのは。
現在国内で販売されている代表的な住宅用室内循環フードは、
IHクッキングヒーター専用です。
ガスコンロなど、
室内の酸素を使って燃焼する機器では、
燃焼用の給気や燃焼ガスの排出のため室内循環では難しいです。
なので「室内循環型いいやん!」と言っているのは、
基本的にはIHを使う住宅の場合です。
ということで、
レンジフードを整理すると、
普通の排気型。
↓
大量排気で負圧になる。
熱交換換気にも影響する。
↓
じゃあ、
近くから給気しよう。
同時給排型。
↓
かなり良い。
でも、
給気量=排気量とは限らない。
↓
だったら、
給気側にもファン。
強制同時給排型。
↓
さらに良い。
でも、
それでも家の空気を大量に外へ捨てていることは変わらない。
↓
だったら……
そもそも捨てるのやめたら?
↓
室内循環型。
こう考えていくと、高断熱・高気密住宅が増えていくほど、
レンジフードの考え方も、変わっていくんじゃないかなと思っています。
レンジフードも、単体の商品として見るのではなく、
家全体の換気システムの一部として考える。
これが、これからの高性能住宅では、大事なんじゃないでしょうか。
お読みいただき、ありがとうございました!
改正でした。