ファンも自社で作ったというお話

ドイツinVENTer社に学ぶ、住まいと換気の基礎知識 Vol.18

前回は、「なぜ反転は70秒ごとなの?」という話をしました。

ヴェントサンは70秒ごとに、

排気→給気→排気→給気。

と、ファンが反転します。

70秒ごとなので、1日で約1,200回。

1年間なら約45万回。……めっちゃ反転(笑)

普通の換気扇は、基本的には同じ方向へ回り続けます。

ところがヴェントサンは、

排気→給気→排気→給気。これを24時間ずっと繰り返す。

だからinVENTerは、ファンまで作ったというお話

inVENTerは、この反転運転のために専用のファンを自社開発しました。

それが、Xenion(キセニオン)ファン。

inVENTer社はキセニオンを「リバーシング運転に最適化した自社開発ファン」と説明しています。

「セラミックとあとは市販のファン付けとこ!」ではありません(笑)

70秒ごとに向きを変える特殊な換気方式なら、

ファンも、その運転に合わせて作ろう。ということです。

「反転するとカチッと音がする」って本当?

ここで、ヴェントサンについてネットで調べていると、

「給気と排気が切り替わるときに、カチッと音がする」

という話を見かけることがあります。

ただ、ヴェントサンの反転の仕組み上、そのような機械的な切替音が鳴るものではありません。

70秒経ったら、カチッ!

とスイッチやリレーが切り替わって、モーターを逆回転させているわけではないんです。

キセニオンは反転運転のための専用電子制御を持っていて、コントローラーからファンへ

回転方向の信号を送って動かしています。

反転するときは、回転が落ちて逆方向へ回り始める。

そして設定された回転数まで上がっていく。

この動作を電子的に制御しています。

もちろん、風が止まって反対方向へ流れ始めるので、静かな部屋では風切り音の変化を感じることはあります。

でも、「70秒ごとにカチッ、カチッと機械音がする」というのは別の話です。

実は「切り替え方」まで考えている

カチカチ音がしない+単純に正転→反転と切り替えているわけではありません。

inVENTerはキセニオンについて、反転時を滑らかにするための専用の切替制御を採用しています。

現在のinVENTerの資料でも、以下の記載があります。

「静かでダイナミックな3段階の切替制御」

つまり、反転するときの動きそのものを静かにすることまで設計しています。

だって1年間に約45万回ですよ(笑)

そのたびに、

カチッ!ウィン!

カチッ!ウィン!

なんて鳴ったら、寝室ではたまったもんじゃありません。

普通の換気扇とは、やってる仕事が違う

一般的な換気扇なら、

基本的には一方向へ空気を運びます。

ところがヴェントサンのファンは、

排気給気70秒ごとに排気給気と切り替わる。

さらに熱交換換気なので、「ただ逆にも回ればOK」ではありません。

風量が変われば、セラミックを通る空気量も変わる。

セラミックを通る空気量が変われば、熱交換性能にも影響します。

つまりファンは、

ただ風を起こしている部品ではなく、

ヴェントサンの熱交換そのものを支えている部品

なんですね。

風の通し方まで考えた

キセニオンの開発では、ファンの羽根の形や配置にも工夫があります。

さらにファンの前後には、空気の流れを整えるためのinVENTron(インベントロン)

という整流部品があります。

目的は、セラミックの一部分だけに風を集中させるのではなく、

ハニカム全体へできるだけきれいに空気を通すこと。

せっかく前回まで、

「セラミックに熱を貯めます!」

と話してきましたが、

風が一部分にしか当たってなかったら、

セラミック全部使えてへん!となります(笑)

だから、どういう風を作って、どうセラミックへ通すか。

そこまでがセットなんですね。

換気って、24時間動くんですよね

そして換気設備でもう一つ大事なのが、

24時間動くということ。

照明なら消します。エアコンも必要がなければ止めます。

でも24時間換気は、基本ずっと動いている。

だったらファンには、

静かであること。

消費電力が小さいこと。

長時間使えること。

この辺がめちゃくちゃ重要になります。

inVENTerはキセニオンを使うリバーシングファンについて、

低騒音で連続運転に適した長寿命ファンと説明しています。

そしてファンには5年間のメーカー保証があります。

換気は、うるさかったら止められる

熱交換率90%!素晴らしい!

でも、寝室でうるさい。気になる。

そして住んでいる人が、OFF。

……換気もせず、熱交換率0%です。。。

換気設備って、カタログ上の性能だけじゃなく、

24時間、本当に使い続けてもらえるかがものすごく大事ですよね。

また最初の話に戻ってくる

Vol.15で、

inVENTerが生まれた原点の話をしました。

当時使える換気設備を探したら、

大きい。

うるさい。

電気を使う。

だったら、自分たちが欲しい換気設備を作ろう。

そこから始まった。

そして、セラミックを使った。70秒ごとに反転させた。

さらに、その反転に合うファンまで自分たちで作った。

こうして見ていくと、製品をバラバラに開発しているというより、

最初に解決したかった問題を、ずっと一個ずつ潰しているんだと思います。

でも、キセニオンの仕事はそれだけじゃない

ここまでなら、「70秒ごとに反転するから、そのための専用ファンを作ったんだね。」

で終わる話です。

でもキセニオンを調べていくと、もう少し面白いことが分かります。

ヴェントサンって、壁に穴を開けて外と直接つながっている換気設備なんですよね。

ということは当然、外がめちゃくちゃ寒い日もある。風が強い日もある。

そんなときも、いつもとまったく同じようにファンを回していていいのでしょうか?

次回は、「寒い日・風の強い日、ヴェントサンはどう動く?」

について書いてみたいと思います。

今回もお読みいただき、ありがとうございました!

改正でした。