熱交換換気で電気代はどれくらい変わる
ドイツinVENTer社に学ぶ、住まいと換気の基礎知識 Vol.9
皆さん!一番気になりますね!!!
今回は、
熱交換換気を使うと、
実際に電気代はどれくらい変わるの?
という話です!!!
まず大事なのは、
熱交換率90%という数字は、
家全体のエネルギーを90%減らす!
という意味ではありません。
熱交換換気がリサイクルしているのは、
「換気によって捨てるはずだった温度や湿度」
です。
家から熱が逃げる場所は、
換気だけじゃないですよね。
壁。
窓。
屋根。
床。
隙間。
そして換気。
なので、
熱交換率90%!
だから、
暖房費90%OFF!
にはなりません。
じゃあ、
実際いくらくらいなの?
せっかくなので、
リアルなお金で考えてみましょう。
例えば、
30坪くらいのお家。
室内容積を約240㎥として、
1時間に0.5回分の空気を入れ替えるとすると、
換気量は約120㎥/hです。
まず冬。
室温20℃。
外気温5℃。
温度差は15℃。
この状態で24時間換気します。
熱交換をしなければ、
1時間に120㎥もの5℃の冷たい空気を入れて、
20℃近くまで暖め続けないといけません。
そこで熱交換!
今回はヴェントサンSPの性能、
温度交換効率87%
湿度交換効率36%
で考えてみます。
まず温度。
換気で捨てるはずだった熱のうち、
温度交換によって約530W分をリサイクルできます。
530W?
また分かりにくい数字出てきた(笑)
ではお金にします!
これが24時間。
30日続いたとすると、
約380kWh分の暖房の仕事になります。
エアコンが、
1の電気で3.5くらいの熱を運べると仮定します。
いわゆるCOP3.5です。
電気料金を31円/kWhとして計算すると……
ざっくり、
1か月約3,400円!
この条件なら、
温度をリサイクルすることで、
エアコンがしなければならない暖房の仕事を、
1か月で約3,400円分減らせる計算になります。
おお!
やっとリアルなお金になった(笑)
でもヴェントサンSPがリサイクルしているのは、
温度だけではありません。
冬は湿度も36%リサイクルします。
室内から捨てる空気に含まれている水分の一部を回収して、
外から入ってくる乾いた空気へ戻してくれます。
じゃあ、
この湿度分も電気代に足して、
さらに安くなる?
ここはちょっと注意です。
冬のエアコンは、
基本的には湿気を作っているわけではありません。
なので、
湿度を36%リサイクルしたからといって、
その分がそのまま
エアコンの電気代から引かれるわけではありません。
ただ、
加湿器を使って室内の湿度を保っている家なら、
換気で湿気を捨てすぎないことで、
加湿器がしなければならない仕事を減らせます。
加湿しない家でも、
室内の湿度が下がりにくくなる。
つまり冬は、
温度のリサイクル → 暖房負荷を減らす
湿度のリサイクル → 乾燥を抑えて、加湿している家なら加湿負荷も減らす
という2つの効果があるんですね。
なので、
「冬は約3,400円安くなります!」
とまで言い切るのではなく、
この条件では、
暖房について約3,400円/月分の仕事を減らせる計算。
さらに、
湿度のリサイクルによる加湿負担の軽減もある。
と考えるのが正確です。
では夏は?
こっちは少し話が変わります。
例えば、
外気30℃・湿度65%。
室内27℃・湿度50%。
温度差は、
たった3℃。
冬は15℃も差があったのに、
夏は3℃だけ。
なんや。
夏は熱交換しても、
そんなに意味ないんちゃうか?
……ところがです。
日本の夏には、
湿気がいる!
外から入ってくる空気は、
暑いだけではありません。
めっちゃ水分を持っています。
そして夏は、
この湿気を取り除くのも
エアコンの仕事です。
だからエアコンのドレン管から、
水がジャージャー出てきますよね。
アレ、
空気の中にあった水分です。
エアコンがせっせと取り除いてくれています。
先ほどと同じ120㎥/hの換気で考えると、
熱交換をしない場合、
エアコンは、
外気の温度を下げる仕事と、外気の湿気を取り除く仕事、
両方をしなければいけません。
そしてこの条件では、
実は温度を下げる仕事より、
湿気を取り除く仕事の方がずっと大きい。
ここで、
ヴェントサンSPの夏の性能。
温度交換効率88%。
湿度交換効率74%。
が効いてきます。
外から入ってくる暑さだけでなく、
湿気もかなり減らしてから
室内へ取り入れることができます。
熱交換をしない場合、
この外気を27℃・50%くらいの室内環境まで持っていくための仕事は、
約760W。
そして、その内訳を見ると、
温度差を処理する仕事が約120W。
湿気を処理する仕事が約640W。
えっ!
湿気の方がめっちゃ多いやん!
そうなんです。
この条件では、
温度を下げるより、
湿気を取り除く方が、
エアコンにとって大きな仕事なんです。
ここで前回の、
「全熱交換効率」
の話がつながってきます。
例えばヴェントサンSPは、
夏の20㎥/h時に、
温度交換効率88%。
湿度交換効率74%。
です。
温度だけでなく、
湿度もリサイクルします。
これを同じ条件で計算すると、
換気によるエアコンの仕事を、
約580W減らせる計算になります。
24時間。
30日。
そして同じようにCOP3.5、
電気料金31円/kWhで計算すると……
ざっくり、
1か月約3,700円!
冬の約3,400円と、
金額だけ見るとそんなに変わりません。
でも、中身は全然違います。
冬は、
冷たい外気を暖める仕事を減らす。
湿気を捨てすぎないことで乾燥や加湿の負担を減らす。
夏は、
暑い外気を冷やす仕事を減らす。
外から入ってくる湿気を取り除く仕事も減らす。
夏は湿気を取ること自体が
エアコンの仕事なので、
湿度交換の効果が、
そのままエアコンの負担軽減につながりやすいんですね。
前回、
温度だけじゃなく、
湿度も含めた「全熱」を見ることが大切!
という話をした理由が、
ちょっと分かっていただけたでしょうか。
ただし!
もう一つ忘れてはいけません。
熱交換換気そのものも、
ファンを回すために電気を使います。
なので、
3,400円分熱を回収した!
=
電気代がそのまま3,400円安くなる!
というわけでもありません。
実際には、
熱交換によって減ったエアコンの電気代から、
換気設備そのものが使う電気代も考える必要があります。
(熱交換なしでも換気扇はありますが)
さらに、
実際の外気温や湿度。地域。換気量。お家の大きさ。
断熱性能。気密性能。エアコンの性能。住んでいる人数。
その他、いろんな条件で結果は変わります。
なので、
熱交換換気で、
「年間○万円必ず安くなります!」
とは簡単には言えません。
でも、
一つ言えることがあります。
熱交換換気は、
電気代を魔法みたいに安くする設備ではなく、
せっかくエアコンがした仕事を、換気で捨てないための設備
だから、地球にも家計にも優しくなる
ということなんですね。
では次回。
たくさん換気すると、
たくさん熱を捨てる。
だったら……
換気量は少なければ少ないほど
省エネでいいんじゃない?
次回は、
「日本はなぜ「0.5回換気」なの??」
根拠などを掘ってみましょう。
お読みいただき、ありがとうございました!
改正でした。
※本記事の金額は、条件を設定したうえでの単純計算例です。実際の省エネ効果・電気料金は、地域、外気温湿度、建物性能、換気量、空調機器の効率、運転状況などによって異なります。
※本記事は、ドイツinVENTer社の技術情報および日本の公的機関による情報を参考に、日本の住宅事情に合わせて編集・解説しています。