ヴェントサンの原点。inVENTerは、なんで生まれたの?
ドイツinVENTer社に学ぶ、住まいと換気の基礎知識 Vol.15
ここまで14回、換気についていろいろ書いてきました。
そもそもこの連載、
「ドイツinVENTer社に学ぶ」
です。
日本では、inVENTer社の換気システムを「ヴェントサン」というブランド名で販売しています。
ここからは、ヴェントサンの製品についても、もう少し詳しく書いていこうと思います。
でもその前に知っておいてほしい。
そもそもinVENTerは、なんでこんな換気を作ったの?
ここを知っていると、
なんで分散型なの?
なんでセラミックなの?
なんでファンが反対向きにも回るの?
なんでこんな形なの?
これから出てくる製品の特徴が、単なる「スペック」じゃなくなってくると思います。
始まりは1999年
inVENTerが生まれたのは20世紀末。
1999年、皆さん何してました?私は高校生。バンドで夢を追いかけていたころ。。
はい、どうでもいいですね!笑)
創業者は、Peter Moser(ペーター・モーザー)さんです。
inVENTerの公式な25周年の記事には、会社の始まりについて面白い話が書かれています。
当時、Peter さんは1995年ごろから、環境に配慮した住宅設備を扱う一人会社を始めています。
扱っていたのは、太陽熱利用や雨水利用。
今でいう、省エネや環境を考えた住宅設備ですね。
つまり最初から、「換気扇屋さんになろう!」というわけではなかった。
その中で、自分の生産施設に合う換気設備を探します。
ところが見つかるのは、
大きい。
うるさい。
電気もいっぱい使う。
そんな中央式の換気設備だったそうです。
「欲しい換気、ないやん!」……せや!作ったろ!
となったんだと思います(笑)
でも、欲しい換気設備が無いなら、自分で作ろう。
ここが、現在のinVENTerのスタートです。
1999年当時すでに、ファンを反転させて排気、熱を貯めて次に給気して貯めた熱を戻す。
というPush-Pull方式の考え方自体は存在していました。
つまり、
inVENTerがPush-Pullという仕組みそのものを、ゼロから発明したわけではありません。
じゃあ、何を変えたの?
アルミから、セラミックへ
当時の蓄熱式換気には、アルミ製の蓄熱体が使われていました。
Peterさんは、「もっと良い蓄熱体はないか?」と探します。
そこで目を付けたのが、セラミック。
蜂の巣みたいに、細かい穴がたくさん開いている材料です。
もともと住宅換気のためだけに作られたものではありません。
でも、空気を通せる。空気と触れる面積を大きくできる。
そして熱を貯められる。
「これ、換気に使えるんちゃう?」
となったわけです。
inVENTerは1999年、セラミック蓄熱体を使った熱回収換気システムを開発します。
ここで、現在のヴェントサンにつながる基本的な考え方ができました。
空気は入れ替える。
でも熱まで捨てない。
この連載で何度も書いてきた、
モッタイナイ!からリサイクル!
ですね。
僕は、ここがinVENTerの根っこだと思う
ここからは僕の解釈です。
inVENTerの製品を見ていると、1999年の最初の考え方が今も根っこにあるように感じます。
ただ換気できればいい、ではない。
できるだけ小さくしたい。
できるだけ静かにしたい。
できるだけ電気を使いたくない。
暖房や冷房で作った快適な環境も、できるだけ捨てたくない。
そして、大掛かりな設備にはしたくない。
僕なりにまとめると、
「換気のために、家の快適性を犠牲にしたくない」
という感じです。
だから、家全体を大きな設備とダクトでつなぐ方法だけではなく、必要な場所に小さな換気ユニットを置く。
だから、捨てる空気の熱をそのまま外へ出さず、一度セラミックに貯める。
だから、一つのファンを反転させて、給気と排気の両方に使う。
この「なんで?」を知っていると、
「セラミックを使っています!」
「ファンが反転します!」
という説明が、ただの商品特徴ではなくなります。
最初に解決したかった問題に対する答え
として見えてくるんですね。
もちろん、25年以上ずっと同じではありません
1999年の製品を、そのまま現在まで売っているわけではありません。
例えばファン。
Push-Pull型では、何度も回転方向を反転します。
だったら、
最初から反転運転に向いたファンを作った方がいい。
そうして開発されたのが現行のXenionファンです。
音。
消費電力。
風量。
反転するときの動き。
Push-Pull型の換気に必要な性能を考えて、ファンそのものまで改良していった。
制御も変わっています。
CO₂や温湿度を見ながら、必要に応じて換気量を変える仕組みもあります。
以前のコラムで話した、
「人がいないのに、ずっと同じ量を換気する必要ある?」
という話にもつながります。
必要な場所に、必要なだけ。
これも、無駄を減らそうという考え方ですよね。
ここから、ヴェントサンの中身を見ていきます
ここから何回か、「なんで、こんな製品になったの?」を考えてみたいと思います。
セラミック。
交互給排。
Xenionファン。
防音。
フィルター。
コントローラー。
それぞれの技術を、1999年の最初の思想まで戻りながら見ていく。
商品の説明をするときも、
新しい機能が付いた。
性能が上がった。
便利になった。
それだけではなく、
「最初に解決したかった問題に対して、この製品は何を良くしたの?」
そこを見ていきたいと思います。
そうするとヴェントサンって、単なる「壁付けの熱交換換気」ではなく、
一つの問題を25年以上かけて、少しずつ解決し続けてきた換気システム
として見えてくるんじゃないでしょうか。
ということで次回。
まずは、ヴェントサンのど真ん中に入っている、セラミック。
でも昔は、アルミの蓄熱体が使われていました。
アルミって、めちゃくちゃ熱を伝える材料です。
だったら、なんでアルミをやめて、セラミックにしたの?
次回は、そこをご紹介してみたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございました!
改正でした。
※本記事は、ドイツinVENTer社の25周年記事、企業資料および公開されている製品情報を参考に、日本向けに編集・解説しています。