ヴェントサン、どこに何台つければいい?

ドイツinVENTer社に学ぶ、住まいと換気の基礎知識 Vol.21

前回は、ヴェントサンがなぜ2台1組で動くのかについて書きました。

Aが給気しているとき、Bは排気。

70秒後には、Aが排気、Bが給気。

こうすることで、家全体では給気と排気のバランスをとりながら換気することができます。

では今回は、その続き。

2台1組なのは分かった。

それで、家には何台つければいい?

リビングに2台?寝室にも2台?子供部屋にも2台?

……なんてやっていたら、めちゃくちゃ台数が増えそうですよね(笑)

でも、「2台1組=各部屋に2台」ではありません。

今回は、ヴェントサンをどこに何台つければいいのか。

換気の「配置」についてです。

まず、家全体でどれくらい換気するのか

ヴェントサンの台数を決めるときにまず考えるのは、

この家には、どれくらいの換気量が必要なのか。

ということです。

そして、その必要換気量に対して、ヴェントサンを何台使うのかを考えます。

前回説明したように、例えば熱交換運転時の換気量が1台29㎥/hなら、

2台で58㎥/h。

4台で116㎥/h。

という計算になります。

ただし必要換気量÷29=必要台数!

で終わりでもありません。

29㎥/hは最大運転時の換気量です。

普段どの風量で運転するのか。

寝室で音は気にならないか。

住む人数は何人なのか。

そういうことも考えながら、実際の計画風量を決める必要があります。

つまり、カタログの最大風量だけを見て台数を決めるものではありません。

2台は、同じ部屋に置かなくてもいい

「2台1組」と聞くと同じ部屋の壁にヴェントサンを2台並べる。

そんなイメージを持つかもしれません。

もちろん、そういう配置もあります。

でも、必ず同じ部屋に2台なければいけないわけではありません。

例えば、

リビングにA。隣の和室にB。

Aが給気しているとき、Bは排気。

70秒後には反対になる。

という組み合わせも考えられます。

inVENTerでも、分散型換気設備はペアとなる機器を一つの部屋だけではなく、複数の部屋に分けて配置する考え方が示されています。

大事なのはその間を空気が移動できることです。

換気扇を見るのではなく、空気の通り道を見る

図面を見ると、ついつい、「ここに換気扇」「ここにも換気扇」

と、機械の位置ばかり見てしまいます。

でも本当に見てほしいのは、

空気がどこから入り、室内のどこを通って、どこから出ていくのか。

例えばリビング側が給気、寝室側が排気しているときには、

家の中にはリビング側から寝室側へ向かう空気の流れができます。

70秒後には、給気と排気が反転するので、この流れの方向も反対になります。

☆ここで注意!☆

リビングから入った新鮮な空気が、70秒で寝室まで到着はしません。

室内に入った空気は、その部屋の空気と混ざります。

そして次の70秒では、今度は寝室側のヴェントサンから新鮮な外気が入ってきます。

この繰り返しで、時間をかけて室内汚染物質の濃度を下げていきます。

そのために大事なのが、ドア下などの部屋と部屋の間を空気が移動できる経路です。

そして「どの部屋につけるか」と同じくらい、気にしていることがあります。
その換気扇、ちゃんとメンテナンスできる場所にありますか?

脚立を持ってこないと掃除できない換気扇にしない

フィルターを掃除しようと思ったら、

毎回脚立を物置から持ってこないと届かない。

椅子の上に乗らないと届かない。

しかもその前に家具を動かさないといけない。

ぜったい「また今度でええか……」となりますよね(笑)

そして、その「また今度」が次の半年になり、一年になる。

そして、「汚れてるやろうけど……もう見たくないわ」これにならないために。

換気設備って、高性能なものをつけることも大事ですが、

それ以上にちゃんと使い続けられることが、ものすごく大事です。

なので設置高さは1,800mm程度以下をおすすめしています

これはinVENTerが決めている設置基準ではありません。

また、1,800mmにすると換気性能が良くなるわけでもありません。

換気設備は10年、20年と使っていく設備です。

高い方が目立たないかなと考えた数十センチより、

フィルター掃除が楽かどうかを考えた方がいいと思っています。

まとめ:ヴェントサンは、家全体で考える

前回ヴェントサンは、

「壁に換気扇を何台かつける設備」ではなく、複数の換気扇を組み合わせて一つの換気システムをつくっている。

と書きました。

配置もまったく同じです。

部屋と部屋の間の空気の通り道を考える。

設置する高さを考える。

そして、将来のメンテナンスまで考える。

そして「どこに何台つけるか」が決まります。

同じ30坪の家でも、間取りが違って住む人数も違って空気の通り道も違う。

だから、「30坪なら4台です!」みたいには決められないわけですね。

常に設計者と私たちと相談の上で考えています。

 

さて、空気の通り道を考えてみて・・・・

でもそんな計画通りに空気って流れるんでしょうか?

その計画を妨げるのが窓の隙間。壁の隙間。床の隙間。

気密性ってやつです。

次回は、換気と気密について。

今回もお読みいただき、ありがとうございました!

改正でした。