Vol.23 網戸から外付けブラインドまで。夏の日射遮蔽、どれくらい効く?
前回は、ドイツの暑さ対策では、
暑くなった家をどう冷やすかの前に、
そもそも家の中に熱を入れない。
という考え方がある、という話を書きました。
その代表のひとつが日射遮蔽。
日本人だって昔からやっています。すだれ。よしず。庇。
最近ならシェード。室内にはカーテンやブラインドもあります。
じゃあ実際どれくらい違うんでしょう?
今回は、夏の日射遮蔽について考えてみます。
まず、窓の中と外。どっちで遮る?
カーテンを閉めれば涼しくなります。
室内ブラインドだって、もちろん意味があります。
でも夏の日射熱を止めることだけを考えるなら、
窓の外で遮る方が有利です。
理由は結構単純で、太陽の光が窓ガラスを通って室内へ入って
カーテンや室内ブラインドに当たる。そこで光は遮られます。
でも、太陽のエネルギーはすでに窓ガラスを通って、
室内側まで入ってきています。
カーテンやブラインドがそのエネルギーを吸収すれば、それ自体が温まり、その熱の一部が室内へ放出されます。
反射して窓の外へ戻る分もありますが、外側で遮る場合と比べると、どうしても室内へ熱を入れやすい。
一方、すだれやシェードなら日射が窓ガラスを通る前に遮ることができます。
だから夏の日射は、できるだけ窓の外で止める。
というのが基本なんですね。
実際、何も付けていない状態と比べて、室内に入る日射熱を、
レースカーテンで約3割。内付けブラインドで約4割。
そして外付けブラインドでは約8割減らせるそうです。
もちろんガラスや製品、色などによって数字は変わりますが、
内側で止めるのと、外側で止めるのでは結構違う。
ということは分かります。
これ、皆さん理屈を知らなくても体感的には分かっていますよね。
カーテンはあるけど夏になると外にシェードを付ける。
昔から、すだれやよしずを使う。
ちゃんと理にかなっていたんです。
じゃあ外側では、何で遮る?
ここからが今回の本題。
窓の外で日射を遮る方法にも、いろいろありますがそれぞれ特徴が違います。
日本では昔から使われてきたすだれはかなり優秀だそうです。
建築研究所が南面の窓で行った実験では、日射遮蔽がない状態と比較すると、
すだれによって室内へ入る日射を約7割減らすという結果が出ています。
すだれ、めっちゃ強いやん(笑)となります。
もちろん、いろいろな条件で変わりますが
日本人が昔から使ってきたすだれは、日射遮蔽としてかなり理にかなっている。
また、外付けシェードも良いです。考え方はすだれと同じで、窓ガラスの外側で日射を止めてくれます。
じゃあ、なんでドイツは外付けブラインド?
ここまで見てくると、すだれでええやんと思いますよね(笑)
日射を遮るだけなら、本当にすだれは優秀です。
じゃあなぜドイツの住宅では、もっと大掛かりな外付けブラインドを建物に組み込んでいるのでしょう。
単純に「一番日射を遮るから」だけではなさそうです。
大きな違いは、日射を遮ること自体を、最初から建物の性能として考えていること。
ドイツの建築エネルギー法では、新築では「夏季の熱対策」が求められています。
簡易的な適合方法の一つでは、東・南・西向きの窓に一定性能以上の外付け日射遮蔽を設けることまで条件になっています。
つまり、夏になって暑かったら、「すだれ買ってこよ!」ではなく、
家を建てる段階から、「この窓の日射をどう遮る?」を考えているんですね。
それにもう一つあります。
外付けブラインドは、羽根の角度を変えられます。
直射日光は遮る。でも室内を真っ暗にはしない。外の景色もある程度見える。
眩しさを抑えつつ、必要なら日中の明るさを室内へ入れられます。
さらに電動なら、日射や時間に合わせて自動で動かすこともできます。
つまり、日射を止める設備というより、日射をコントロールする設備に近いんですね。
すだれは夏になったら掛ける。
外付けブラインドは家を設計するときから窓と一緒に考える。
もちろん日本でも、日射遮蔽をしっかり考えて設計している住宅はあります。
軒の出を考えて、西側の窓を小さくして、シェードを最初から取り付ける。
そういう設計をされている方もたくさんいます。
でも一般的には、家を建てて住んでみて夏になって、
「ここ暑いな。シェード付けようか。」
と、住まい手側で対策することもまだ多いように思います。
日本には、すだれやよしずという素晴らしい知恵があります。
だからドイツのやり方をそのまま真似する必要はありません。
でもこれから夏がさらに厳しくなっていくでしょう。
新築建てる時、リフォームのとき。窓を選ぶのと一緒で、
「この窓の日射は、どうやって遮ろう?」まで考える。
そんなことがもっと普通になっていくのかもしれません。
最後にもう一つ!
ここまで、すだれ。シェード。庇。外付けブラインド。
と、日射を遮るためのものを見てきました。
最後は網戸!
実際にソーラーパワーメーターで測定している設計事務所さんがありました。
網戸なしでは、1065W/㎡。
それが網戸だけを通すと、683W/㎡。
その実測では、
なんと約36%の日射を遮っています。
え。網戸、そんな働いてたん(笑)
もちろん網の色やメッシュ、太陽の角度などで結果は変わります。
でも研究でも、市販の網戸用ネットに日射を軽減する効果があることが確認されていて、
特に黒い網はその効果が大きいという報告があります。
日射遮蔽のために付けたわけでもない網戸まで、
実は少し仕事をしていたんですね。
日射遮蔽も、家をつくるときから考える
結局、どれが一番いい?に一つの答えはありません。
- レースカーテン:約30%遮蔽
- 内付けブラインド:約40%遮蔽
- すだれ:約70%遮蔽
- 外付けブラインド:約80%遮蔽
- 外付けシェード:約80%遮蔽
- 網戸:約40%遮蔽(実測例)
それぞれ良さがあります。
でも今回、大切だろうと思うのは「いつ考えるか」。
日本では、住んでから住まい手が工夫してきた日射遮蔽。
ドイツでは、それを建物をつくる段階から考える。
これから日本でも、「夏の日差しをどう遮る?」が当たり前になっていけば、
エアコンだけに頑張らせなくても、もっと過ごしやすい家がつくれるはずです。
そんな快適な住宅が増えればいいなと思います。
さて次回は、日射遮蔽が必要な夏…いつまで続くのかなって思いますよね。
これからの四季ってどうなるんだろう。温暖化って今どうなってるの?
そんなお話をしたいと思います。いっぱい調べなきゃいけない(笑)
今回もお読みいただき、ありがとうございました!
改正でした。