最大熱交換率の落とし穴
ドイツinVENTer社に学ぶ、住まいと換気の基礎知識 Vol.6
今回は少し性能の話に戻ります。
換気設備を調べていると、
「最大熱交換率95%!」
こっちは「熱交換率85%!」
みたいな数字が出てきます。
95%!!
めっちゃリサイクルしてる!
85%より95%の方が数字が大きい。
じゃあ95%の製品の方が絶対いいやん!
……本当にそうでしょうか?
今回は、
「最大熱交換率」
この「最大」の落とし穴についてです。
前に紹介したように、熱交換率とは簡単に言えば、
「室内と外気の温度差を、どれくらいリサイクルできたか」
という数字です。
なので、同じ条件なら数字が大きい方が、
よりたくさん熱を回収できています。
でも、ここで大事なのが、
「その熱交換率、何㎥/hのとき?」
ということ。
換気設備は、通す空気の量によって
熱交換効率が変わることがあります。
空気を少なく、ゆっくり通せば、
熱を受け渡す時間を長く取れます。
逆に、たくさんの空気を通せば、
熱を受け渡す時間は短くなります。
熱交換器の方式によって違いはありますが、
風量は熱交換効率を見るうえで大切な条件の一つです。
では、例えば2つの換気設備があったとします。
Aという換気設備。
最大熱交換率95%!
Bという換気設備。
熱交換率85%!
さて、どちらを選びますか?
数字だけなら、
A!
95%の圧勝!
ですよね。
ところが、もう少しカタログを見てみます。
Aの最大熱交換率95%は、
換気量10㎥/hのとき
の数字でした。
そしてAを20㎥/hで運転すると、
熱交換率80%
になります。
一方のB。
熱交換率85%は、
最初から
換気量20㎥/hのとき
の数字だったとします。
整理すると、
A
10㎥/h → 95%
20㎥/h → 80%
B
20㎥/h → 85%
です。
では、その部屋で必要な換気量が
20㎥/hだったら?
実際に使う条件で比べると、
A → 80%
B → 85%
あれ?
最大熱交換率では95%だったAより、
85%だったBの方が高くなりました。
これが、
「最大熱交換率」の落とし穴
です。
※もちろんAとBの数字は、考え方を説明するための架空の例です。
大切なのは、
「最大何%?」
だけを見るのではなく、
「その熱交換率は、何㎥/hのときの数字なの?」
を見ることなんです。
換気設備なんだから、
まずは必要な空気をちゃんと入れ替えることが大切。
最大95%リサイクルできます!
でも20㎥/hの換気しなきゃいけないからあなたのお宅の場合は
実際は80%!
……となっちゃいます。
必要な換気量を確保した状態で、
どのくらい温度をリサイクルできるのか。
ここを同じ条件にそろえて比較しないと、
本当の性能差は見えてきません。
そして、もう一つ大切。
同じ20㎥/hで比べたとしても、
そのときの音は?
消費電力は?
フィルターを付けた状態でも
20㎥/h出ている?
まだまだ見るところがあります。
あぁ……
カタログ比較、だんだん面倒になってきた(笑)
いつも「最大熱交換率」で暮らすわけではありません。
実際に必要な量の空気を入れ替えて、
できるだけ温度や湿度をリサイクルして、
静かで、できれば電気もあまり使わない。
大切なのは、そのバランスです。
なので今度、
換気設備のカタログに
「最大熱交換率95%!」
と大きく書いてあったら、
おお!すごい!
……のあとに、
「ちなみに、それ何㎥/hのとき?」
と見てみてください。
ちょっと換気マニアに近づけます(笑)
次回は、「熱交換換気は湿度もリサイクルできる?」です。
この暑い夏に湿度のリサイクルって、なんかやばそう(笑)
お読みいただき、ありがとうございました!
改正でした。
※本記事は、ドイツinVENTer社の技術情報を参考に、日本の住宅事情に合わせて編集・解説しています。