Vol.34 BAU②断熱・性能の時代ではない?
前回は、ミュンヘンで開かれる
建築の国際見本市、
「BAU(バウ)」
について書きました。
では、なぜ僕は
毎回BAUへ行くのでしょうか。
新しい建材を探すため?
もちろん、それもあります。
でも前回のBAUを歩いて、
強く感じたことがあります。
もう、断熱・性能だけの時代ではない。
……少し乱暴な
言い方かもしれません(笑)
■断熱が不要になったのではない
もちろん、これからも
断熱は大切です。
断熱性能が低くてもよい、
という話ではありません。
むしろヨーロッパでは、
建物をしっかり断熱することが
前提になってきています。
そのため、
「去年より断熱性能が高い」
「熱を何%通しにくい」
という性能競争だけでは、
未来を語れなくなっています。
性能が高いのは当たり前。
では、その材料を
何からつくるのか。
どうやってつくるのか。
使い終わった後は、
どうするのか。
建物が自然や街と、
どう共存していくのか。
BAUでは、その先が
提案されていました。
■外壁の中に、鳥の巣?
例えば、断熱外壁の中へ
鳥のための巣箱を
組み込んだ製品。
人間のためだけではなく、
鳥が暮らす場所も
建物につくろうという提案です。
見た目は普通の屋根材なのに、
実は太陽光パネル。
発電設備を屋根の上へ
載せるのではなく、
屋根そのものを
発電する建材にしています。
古いウレタン系断熱材を
回収して再利用したボード。
使い終わった建材を、
ゴミにせず材料へ戻します。
あえて藁を使った
断熱材や外壁もありました。
最新の化学素材だけでなく、
昔からある自然素材を
今の建築へ生かしています。
さらに、成長の早い桐を
地域で育て、
その土地の建材として使う
提案もありました。
建材を買ってくるところから
始めるのではありません。
建材を育てるところから、
家づくりを始める。
地産地消の極致です。
■性能ではなく、哲学を見せる
これらの製品は、
単に断熱性能を競っている
わけではありません。
自然と一緒に暮らしたい。
景観を壊さず発電したい。
廃棄物を資源へ戻したい。
地域で育った材料を、
地域の建物に使いたい。
それぞれの企業が、
「私たちは、こんな未来を
つくりたい」
という考え方を、
製品として見せています。
これが、とてもよかった。
性能は表にすれば、
数字で比較できます。
でも、その会社が
何を大切にしているかは、
数字だけでは伝わりません。
自分たちの哲学を示し、
それに共感する人から
選んでもらう。
製品を展示すること自体が、
企業のブランディングに
なっているんです。
もちろん、哲学だけ立派で
性能が低ければ困ります。
でも、性能が高いだけでも、
選ばれる理由にはなりにくい。
性能と哲学の両方が必要。
BAUでは、
そのことを感じました。
■展示会だけでは終わらない
せっかくドイツへ行くので、
僕は必ず民泊を利用します。
前回も約10人で、住宅を借りました。
実際のドイツの家に泊まり、
窓や暖房、換気を使ってみる。
そして夜遅くまで、
みんなで建築談義です(笑)
朝になれば、
小さな町のカフェで朝食。
地元のスーパーへ行き、
普段の買い物もしてみます。
有名な建物を見るだけでは、
分からないことがあります。
どんな家で暮らし、
どんな街を歩き、
何を食べ、
何を買っているのか。
その土地の文化を体験すると、
なぜ、その建材や設備が
生まれたのかも見えてきます。
建築は、技術だけでは
できていません。
その土地の気候や文化、
暮らし方から生まれています。
■未来と、今の暮らしを見る
僕がBAUへ行くのは、
新商品を探すためだけでは
ありません。
BAUで、建築の未来を見る。
民泊や街で、
今の暮らしを見る。
その両方を体験して、
日本へ何を持ち帰るべきかを
考えています。
海外の製品だけを切り取り、
日本へ持ってくるのではなく、
なぜ、その製品が生まれたのか。
どんな未来を目指しているのか。
そこまで知ることが、
大切だと思います。
皆さんも製品を見つけた時には
性能や価格だけでなく、
「なぜ、この製品を
つくったのか?」
を探してみてください。
その答えに、
企業の哲学が見えるかも
しれません。
次回からは、
換気の基本へ戻ります。
まずは、
「熱交換率って、何の数字?」
を、もう一度やさしく
考えてみたいと思います。
お読みいただき、
ありがとうございました!
改正でした!