Vol.26 夜に窓を開けられる季節は、50年後どう変わる?

前回、50年後の日本では、夏が長くなり、春と秋は短く、時期もずれていきそうだという話を書きました。

では、夜に窓を開けて涼める季節は、どうなるのでしょうか。

今、東京で窓を開けたくなるのは、5月から初夏。

そして、長い夏が終わる9月末から10月ごろでしょうか。

暖かい夜が増えるなら、窓を開けられる季節も長くなる?

それとも、夜まで暑くなって短くなる?

今回は、「窓を開けられる季節が何月へ動くのか」を調べてみました。

昼間に家の中へたまった熱を、夜の涼しい空気で外へ逃がす。

建築の世界では「夜間通風」や「ナイトパージ」と呼びますが、簡単にいえば、夜風で家を冷ます方法です。

そこで今回は、東京の夜21時の気温を使いました。

夜21時の外気温が、

・18℃未満なら、開けたまま過ごすには少し寒い
・18℃以上25℃未満なら、窓を開けて涼みやすい
・25℃以上なら、外気だけでは涼みにくい

と仮定します。

もちろん、18℃と25℃は絶対的な境界ではありません。

寒ければ窓を少し閉めればいいですし、暑がりの人なら25℃でも平気かもしれません(笑)

今回は、季節がどう動くかを見るための目安です。

■今と50年後で、窓を開ける季節はどう変わる?

現在については、2024年と2025年の東京の夜21時の気温を確認しました。

50年後については、気象庁の将来予測と同じ1980~1999年の夜21時の気温に、東京都で予測される季節ごとの気温上昇を加えて計算しました。

結果は、こうなりました。

東京の夜21時 現在のイメージ 2℃上昇の世界 4℃上昇の世界
春側の窓開け 5月中旬~6月末 5月初め~6月末 4月初め~6月初め
夜も暑すぎる時期 7~8月 7~8月 6月中旬~9月末
秋側の窓開け 9月末~10月末 9月後半~10月末 10月初め~11月中旬

2℃上昇に抑えられた世界では、今とそれほど大きく変わりません。

春側が少し早まり、秋側が少し遅くなる。

窓を開けられる季節が、前後へ少し広がります。

ところが4℃上昇の世界では、かなり変わります。

今は5月から6月と、9月末から10月ごろに窓を開けています。

それが50年後には、4月から5月と、10月から11月へ移ります。

6月から9月は、夜になっても暑く、窓を開けて涼める日がかなり少なくなる予測です。

気象庁・過去の気象データ・ダウンロード
東京管区気象台・関東甲信地方の将来の気候

■4℃上昇の世界では、何日ぐらい開けられる?

4℃上昇の世界で、東京の夜21時が18℃以上25℃未満になる日を、月ごとに計算すると、

・4月 約16日
・5月 約23日
・6月 約12日
・7月 約4日
・8月 約1日
・9月 約6日
・10月 約23日
・11月 約14日

となりました。

7月は月に4日ほど。

8月は、ほぼゼロです。恐ろしい~。

「夏の夜に窓を開けて涼む」という過ごし方は、東京では難しくなりそうです。

一方で、4月、5月、10月、11月には、窓を開けられる夜が増えます。

窓を開ける季節が長くなるというより、

「春と秋へ移動する」という方が近そうです。

■では、年間の日数は増える?減る?

ここが、少し意外でした。

同じ計算方法で年間の日数を合計すると、

・20世紀末 年間約104日
・2℃上昇の世界 年間約108日
・4℃上昇の世界 年間約99日

となりました。

年間の日数は、それほど大きく変わりません。

2℃上昇の世界では少し増え、4℃上昇の世界でも少し減る程度です。

ただし、使える時期がまったく違います。

今まで夏に使っていた夜風が使えなくなり、その分、春と秋に使える夜が増える。

窓を開けられる期間が一本につながって長くなるのではありません。

真ん中の夏に大きな穴が開き、春側と秋側の二つに分かれていきます。

■北日本では、まだ夜風を使える?

北海道では現在、7月と8月でも夜の涼しい空気を使える日が多くあります。

50年後は、今まで寒かった6月や9月の夜が暖かくなり、窓を開けられる時期が前後へ広がる可能性があります。

一方、4℃上昇の世界では、北海道でも熱帯夜が20世紀末より年間約7日増える予測です。

関東甲信の約36日増加ほどではありませんが、北海道でも「真夏の夜は涼しい」とは限らなくなります。

それでも、夜の涼しい空気を利用できる期間は、東京より長く残りそうです。

夜風で家の熱を逃がす方法は、これからの北日本で、より使い道が増えるかもしれません。

札幌管区気象台・北海道地方の将来の気候

■気温が低ければ、窓を開けていい?

今回の計算は、気温だけを見ています。

でも実際には、雨、湿度、風、騒音、防犯、花粉や虫なども関係します。

外が24℃でも、雨上がりで湿度が高ければ、窓を開けることで家の中へ湿気を入れてしまいます。

室温は下がっても、家の中がジメジメする。

その後エアコンを使えば、持ち込んだ湿気を取り除かなければなりません。

実際に窓を開けられる日は、今回の計算より少なくなると思います。

そして現実には、

「気温はちょうどいい。でも窓は開けられない」

という家も多いですよね。

防犯が心配。

外がうるさい。

花粉や虫を入れたくない。

雨が降るかもしれない。

では、窓を開けられない家で、夜の涼しい空気を使う方法はないのでしょうか。

次回は、

「窓を開けられない家では、ナイトパージをどう使う?」

を考えてみたいと思います。

お読みいただきありがとうございました。

改正でした!